東京都(こまつな)

播種期 定植期 収穫期 出荷最盛期
調査日 調査時点の
生育ステージ
調査産地 作付面積
[平年比]
作況
[平年比]
生育進度
[平年比]
出荷進度
[平年比]
圃場写真
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播種期
収穫期
江戸川区 やや減少 良好 早い 早い
12

24
[生育状況]
・10月から12月にかけて平年より気温が高いことから生育速度は極めて速い。
・年間を通して最も需要が大きい年末の出荷を控え、ほとんどの生産者は10月下旬播種・12月末収穫の出荷計画を立てているが、今年度は10〜15日程度生育が早まっている。
 また、雨の降った日(特に夜間)が多く、かつ降雨量も多かったことから、施設外から土壌を通して雨水が流入し、その水により生育スピードが加速した感がある。
・気温が下がる12月になればコマツナの株が太り、一株重が大きくなるが、今年は暖かいため株太りが悪く、単位面積当たりの収量が小さくなっている。
[病害等]
・病害虫は、高い気温の影響でまだアブラムシが発生している。
 また、降雨が多かったことから湿度が高く、例年より白さび病やリゾクトニアによる被害が目立っている。
[出荷状況]
・はくさい、だいこん等と同様で市場での取引価格は安値となっている。
・今回調査した農家は大田市場出荷中心の農業経営を行っている。
[規格・品質]
・一束500〜600gが平均であり、品質は大変優れている。
[今後の生育・出荷の見込み]
・年末に向けて品不足も心配されるところではあるが、各生産者も保険的に多めに播種していると思われるため、年末出荷も計画通りと思われる。
[写真の補足説明]
・上段:施設内のコマツナ生育状況である。コマツナ栽培は、株を均一に生育させ、揃った株を綺麗に結束させることが高品質と見なされる。そのための栽培技術として播種後の灌水があるが、水を十分に、かつ、均一に撒くことが重要であり、灌水チューブの使い方がポイントとなる。
・中上段:収穫直前のコマツナである。あと1週間程度で収穫となる。
・中下段:写真の右側は、べたかけ資材を使っている様子を示している。保温する目的で使っている。露地栽培で使うことが多いが、この地域では施設内でも使用している。低気温の時期などは、本資材を使うことにより、生育・収穫を前進させることが出来る。
・下段:発芽数日後のコマツナである。2月以降の早春に収穫する。気温が例年通りであれば、播種後70日〜90日程度で収穫となる。日数に幅があるのは、使う品種による特性であったり、施設の温度管理方法が生産者により異なるためである。
調査日 調査時点の
生育ステージ
調査産地 作付面積
[平年比]
作況
[平年比]
生育進度
[平年比]
出荷進度
[平年比]
圃場写真
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終盤期
江戸川区 やや減少 平年並み 平年並み 平年並み
10

22
[生育状況]
・8月下旬から9月中旬まで長雨と低温の影響を大きく受けた生育状況になっている。
・9月は施設栽培でも外部から施設内に雨が入ってきて、虫害が増えるなどの影響が出た。
 また、低温の影響で生育が遅れるなど、生産量・出荷量が著しく小さくなり、品不足が深刻化した。
・10月下旬になり、やっと9月の悪影響から脱し、平年並みの生育速度に戻ってきた。
・現在は播種から収穫まで約30日程度であり、生産は安定している。
・一株重が徐々に増え、10aあたりの収穫量は夏場に比べ増えてきている。
・市場での取引価格は、9月は品が少なく高値が続いたが、10月は安定した出荷が続いているため、やや安値傾向となっている。
[病害等]
・病害虫は、9月の長雨の影響でナメクジ類の被害を受けた。
 また、低温の影響で、通常は食害しないバッタ類やコオロギ類が施設内に侵入してコマツナを食害した。
・現在は虫害はほとんど認められないが、一部農家では白さび病対策として殺菌剤をしようとしている。
[出荷状況]
・東京都中央卸売市場への出荷が中心であるが、区内小中学校の学校給食に納品している農家も多く、地産地消が進んでいるが、今回調査した農家は築地市場出荷中心の農業経営を行っている。
[規格・品質]
・一束500〜600gが平均であり、品質は大変優れている。
[今後の生育・出荷の見込み]
・計画通りと思われる。
[写真の補足説明]
・上段:今回調査した農家の収穫・結束作業の様子を示している。4年前に後継者が就農し、現在は家族4名で農業経営を行っている。出荷量も増え、質も向上し、経営主は大変喜んでいる。
・中上段:施設上部に設置している寒冷紗である。コマツナ栽培経営は収穫・結束作業が8割程度と大きいことから快適な収穫・結束作業を確保する必要がある。黒の寒冷紗を上部に展開することで直射日光を避け、収穫・結束する箇所の気温を大きく低下することが出来る。
・中下段:収穫適期のコマツナを撮影した。以前はカッピング(葉が内側に丸まる現象)が認められた畑であるが、品種を変更し減肥したことでカッピングは認められなくなった。
・下段:収穫カゴに入れられたコマツナである。この鉄製のカゴは江戸川区独特のものであり、江戸川区の中小企業と農家が協力して完成したものである。根についた土を落とすため、このカゴのまま水で洗浄し、その後水を切り、出荷箱(ダンボール)に入れ市場出荷することとなる。
調査日 調査時点の
生育ステージ
調査産地 作付面積
[平年比]
作況
[平年比]
生育進度
[平年比]
出荷進度
[平年比]
圃場写真
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播種期
収穫期
江戸川区 やや減少 平年並み 平年並み 平年並み
6

22
[生育状況]
・6月となり気温が高くなってきたことから播種から収穫までの生育期間が短くなり、約25日程度で収穫となっている。
 それに伴い株が細くなってきており、一株重は低下し、10aあたりの収穫量は低下している。
 6月下旬の当該産地における収穫量は例年並みであると思われる。
[病害等]
・病害虫はコナガの被害が目立った。この数年、コナガによる被害は小さかったが、今年は被害が大きい。また、高温になってきたことからキスジノミハムシの被害が大きくなってきている。
・近年の傾向であるが、ネギアザミウマによる被害が目立つ。
・葉が展開する初期に被害にあうと奇形葉が発生し、商品価値を著しく低下させる。
・キスジノミハムシにしろ、ネギアザミウマにしろ、有効な薬剤がないことから、周年連作を停止し無栽培期間を設ける、または太陽熱消毒を実施するなど総合的な対策が必要である。
[出荷状況]
・東京都中央卸売市場への出荷が中心であるが、区内小中学校の学校給食に納品している農家も多く、地産地消が進んでいる。 ・今回調査した農家も学校給食出荷中心の農業経営を行っている。
[規格・品質]
・一束500〜700gが平均であり、品質は大変優れている。
[今後の生育・出荷の見込み]
・計画通りと思われる。
[写真の補足説明]
・中上段:施設上部に設置している寒冷紗である。コマツナ栽培経営は収穫・結束作業が8割程度と大きいことから快適な収穫・結束作業を確保する必要がある。黒の寒冷紗を上部に展開することで直射日光を避け、収穫・結束する箇所の気温を大きく低下することが出来る。
・中下段:収穫適期を迎えたコマツナである。
・下段:キスジノミハムシによる食害を受けたコマツナの葉である。被害を受けた場所を○印で示した。被害を受けた直後は目立たぬくらい小さい穴であるが、葉が生育して大きくなるのに伴い食害の穴も大きくなって目立ってくる。
調査日 調査時点の
生育ステージ
調査産地 作付面積
[平年比]
作況
[平年比]
生育進度
[平年比]
出荷進度
[平年比]
圃場写真
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播種期
収穫期
江戸川区 やや減少 平年並み 平年並み 平年並み
4

28
[生育状況]
・4月上中旬は日照不足の影響で生育が低迷していたが、4月下旬より高温の日が続き、生育が早まった。
・2〜3月が比較的低温であったため、抽台(花芽が形成されとう立ち)したコマツナが多く発生した。その抽台したコマツナを収穫せずに廃棄し、直ちにコマツナを播種した農家が多かったため、4月に収穫量が増加するという結果になった。
・産地は施設栽培主体のため天候の影響を比較的受けにくいが、それでも4月は日ごとの気温差が大きかったため生育に大きな影響が認められた。
・現在は播種から30日程度で収穫となっている。
・30年以上の施設栽培と年に6回程度の周年栽培の影響により、施設内の塩類集積や土壌の粉状化が問題となっており、施肥および潅水に気をつかう農家が多い。
・品種は「いなむら」が主力となっている。
[病害等]
・病害虫はアブラムシが発生し始めている。
・4月上旬の多雨の影響で、カタツムリ類が多く発生し葉に食害が認められている。
・一部の農家ではケナガコナダニも発生し、被害が認められている。
[出荷状況]
・平年よりやや多めであるが、価格は比較的高値である。
・東京都中央卸売市場への出荷が中心であるが、区内小中学校の給食に納品している農家も多く、地産地消が進んでいる。
[規格・品質]
・一束500〜700gが平均であり、品質は大変優れている。
[今後の生育・出荷の見込み]
・計画通りと思われる。
[写真の補足説明]
・上段:施設内でのコマツナ栽培の様子である。生育が均一になっていないのは、数回に分けて播種しているからであり、この農家では手前から順に播種している。手前は収穫を迎える草丈になっているが、奥側は発芽後数日しか経っていないため草丈が短い。
・中上段:収穫を迎えつつあるコマツナの草勢である。草丈25〜30cm程度で収穫する。株間は概ね5cm間隔である。生育期間が長いと株太りが良くなり、1株重は大きくなる。
・中下段:カタツムリ類に食害されたコマツナである。
・下段:塩類集積の影響で生育が停止してしまったコマツナである。雨が当たらない施設では肥料成分が残り塩類集積となりやすく、ひどい場合は写真のように生育不良となってしまう。水が十分行き届かない場合にも認められる現象である。